現金文化の根強い日本の支払い完全ガイド【2025年版】
現金文化の根強い日本での支払い完全ガイド【2025年版】— 両替・ATM・クレジットカード・現金の使い方
はじめに:日本では「カードもICも使えるが、現金の出番もある」
2025年の今、日本はキャッシュレスが拡大していますが、それでも旅先では現金が早い・確実な場面が少なくありません。政府発表の最新データでも、2024年のキャッシュレス比率は42.8%。比率は伸びている一方で、100%にはまだ距離があります。都市部はカードやICでほぼ困りませんが、地方や小規模店舗では現金が主役という温度差が、旅行者の戸惑いのもとです。
また、日本にはチップの習慣は基本的にありません。レストラン、タクシー、ホテルでもチップは不要で、心付けに近いケースは例外的です(渡すなら小さな封筒=ポチ袋に入れるのが作法)。まずはこの前提を押さえると、滞在のストレスが減ります。
1. 到着直後の現金確保:空港両替 vs. 国際対応ATM
空港の両替所は到着直後にまとまった円を手にできる一番わかりやすい方法。いっぽうで国際対応ATMは、カード会社の為替で自動換算されるため、総コストが有利になることが多い実務派の選択肢です(カード側手数料は各社で異なるので事前確認を)。**どちらか一方に固定せず、「空港で少額→市内でATM補充」**のハイブリッドが失敗しにくい使い方です。
とくにセブン銀行ATM(7-Eleven)は都市部・地方ともに見つけやすく、海外発行カードで1回10万円まで引き出し可。操作は多言語対応で、英語・中国語・韓国語ほか12言語に切り替えできます。 ゆうちょ銀行(Japan Post Bank)のATMも全国に広く、海外発行カードの引き出しに対応。代表的な営業時間は月〜土 7:00–23:00/日祝 7:00–21:00です(設置場所により異なる)。 イオン銀行ATMも多言語・国際ブランド対応で、1回5万円まで。ショッピングモール内などで便利です。
DCC(自国通貨建て)に注意:ATMやレジで「自国通貨で請求する?」と出たら、JPY(円)で支払うを選ぶのが基本。DCCは割高なレートや追加手数料が含まれることが多く、トータルで損になりがちです。
2. ATMの使い方:対応ブランド・言語・引き出し上限の目安
ATMの前で迷ったら、端末に並ぶブランドのロゴ(Visa/Plus、Mastercard/Maestro/Cirrus、JCB、American Express、Discover、銀聯など)を確認。ロゴがあれば基本的に使えます。セブン銀行は前述のとおり広範なブランドに対応、引き出し上限は1回10万円。画面でまず言語を選択し、Withdrawal→金額→PINの流れでOK。
ゆうちょ銀行ATMは原則深夜停止時間帯あり(例:日祝は21:00まで)。地方ほどこの制約に引っかかりやすいので、早めの引き出しを。 E-net(ファミリーマート等)やローソン銀行ATMも国際ブランド対応の機が増えています。旅先でファミマのE-net ATMを見つけたら、Visa/Plus・Mastercard/Maestro/Cirrus・JCB・銀聯が使える店舗があります(英・中・韓を含む多言語表示)。
手数料の考え方:日本側ATMの利用料は時間帯や金額で変動しうるほか、発行銀行側の海外利用手数料(例:1–3%)が別途かかることがあります。具体額はカード会社次第なので、出国前に必ず条件を確認しましょう。
3. クレジット/デビットカード:どこまで通用する?
**都市部(東京・大阪・福岡など)のホテル、大型商業施設、百貨店、チェーン飲食、コンビニ、主要観光施設は、Visa/Mastercard中心に広く利用可。Amex・JCB・銀聯に対応する店舗も多数あります。非接触(タッチ)対応端末も増加中で、端末側にブランドロゴがあればタッチでも決済可能です。全国的なキャッシュレス比率は42.8%(2024年)**まで上昇しました。
とはいえ、地方や個人経営の小さな店・屋台・共同浴場などは、今も現金のみが珍しくありません。支払いで戸惑わないために、千円札と小銭を常備し、少額はICカードか現金で素早く済ませるのがストレスフリーです。
4. 交通系IC(Suica / PASMO / ICOCA など):小口決済の万能選手
日本の交通系ICは、改札だけでなく街の買い物でも使える電子マネー。コンビニや自販機、ファストフード、ドラッグストアなどでタッチ決済ができます。 短期滞在者に人気なのがWelcome Suica。デポジット不要で、購入日から28日間有効。観光中心の旅程なら「作る→使い切る」で身軽です。
ICでできること:鉄道・バスの運賃支払いはもちろん、駅外の**参加小売(コンビニ・飲食・タクシー等)**でも幅広く利用できます。ロゴ掲示のある店舗で活用しましょう。
5. 「現金が安心・必須」になりやすい具体シーン
神社・寺院・お祭りの屋台:お賽銭や授与所、屋台の支払いは少額現金が基本。行列や通信混雑でも現金なら確実です。 バスなどのローカル交通:地方バスや路面電車では1,000円札までしか両替できない運用が一般的。高額紙幣は乗車前に崩すか、ICカードを用意すると安心です(京都市バスの公式案内でも、両替は硬貨と1,000円札のみと明記)。 コインロッカー・一部の券売機:IC対応が増える一方、現金専用の機器も残っています。観光中に詰まらないよう、100円玉は少し持っておくと便利です。
6. 外貨両替の現実解:比べるポイントは「総コスト」
両替所の提示レート+手数料で総コストを比べるのが基本。空港は即時性が高い反面コストが上がりがちなので、到着時は最小限→市内でATMや公認両替所で補充が合理的です。ATMはセブン銀行/ゆうちょ/イオン銀行を軸にし、表示ブランドと言語の安心感で選ぶと失敗が減ります。
覚えておくと得する一言:「Charge in JPY, not my currency(円建てで請求して)」 DCC回避は、それだけで数%のムダを防ぐことがあります。
7. マナーと小ワザ:日本ならではの“つまずき”を回避
- 現金トレー:会計時は小さな受け皿に現金やカードを置く文化が一般的。手渡しではなくトレーを使うとスマートです。
- チップ不要:日本では基本的にチップ文化はありません。気持ちを示す心付けは例外で、渡すなら封筒に入れて。
- 非常用に現金を分散:停電・通信障害・端末不調など“不測”に強いのが現金。千円札と小銭を分散して携帯すると安心度が上がります。
- バス用の両替:高額紙幣はバスで両替できないことが多いので、1,000円札をキープ。
8. よくある質問(FAQ)
Q. Apple Pay / Google Pay は使えますか? A. 店舗の非接触端末が国際ブランド対応なら利用可能です。対応はカードと端末の両方次第。決済できない場面は物理カードやICカードに切替えましょう。
Q. 現金はどれくらい持っておくべき? A. 都市滞在中心なら、カード+IC+少額現金で十分。地方・祭り・ローカル交通が多い行程なら現金多めが安心です。
Q. ATMの上限と時間帯の目安は? A. セブン銀行は1回10万円まで、ほぼ24時間(保守時間除く)。ゆうちょは月〜土7:00–23:00/日祝〜21:00が目安。イオン銀行は1回5万円。いずれも設置場所で異なるため、現地表示を優先してください。 Q. Welcome Suica と普通のSuicaの違いは? A. Welcome Suicaはデポジット不要・28日間有効。普通のSuicaは500円デポジットが必要で、払い戻し時に返金対象です。旅行期間や使い切りやすさで選びましょう。
9. 旅程別・支払いプラン(失敗しない型)
- 都市短期(2–3日):空港で少額→セブン銀行ATMで補充→カード中心+ICで小口決済。
- 地方・温泉・祭り巡り:現金多め+IC。高額はカード、少額とローカル交通は千円札&IC。バスは1,000円札両替が基本。
- 周遊(都市+地方):都市で現金を確保→地方へ。DCCは常に円建てで回避。
まとめ:この3本柱で迷わない
- カード(Visa/Mastercardなど)
- ICカード(Suica等/Welcome Suicaはデポジット不要・28日有効)
- 少額の現金(千円札・硬貨)
この3本柱をベースに、セブン銀行・ゆうちょ・イオン銀行のいずれかを軸に現金を補充し、DCCは円建てを選ぶ。そしてチップ不要。このルールだけで、日本での支払いの“モヤモヤ”はほぼ解消します。