東京の六本木エリアには、一見して目立たない存在がある――在日米陸軍の六本木ヘリポート。この小さなヘリポートは、日米安全保障条約に基づく米軍の活動拠点として、都心の一等地に構えている。
ヘリポートはビル群に囲まれた狭い敷地に立地しており、周辺を歩く人々の目線からはなかなか見えにくい。しかし、近くを通ると大型ヘリコプターの音が聞こえ、時折垣根の向こうにヘリの姿が見え隠れする。敷地内には管制塔のような建物もあり、厳重な警備が行われている。
このヘリポートは、訪日する米政府要人などの移動手段として活躍している。ヘリコプターで首都圏の米軍基地から直接こちらに飛来し、六本木の路上でリムジンに乗り換えて目的地へ向かうのだ。
近隣住民によると、要人の訪問時にはカメラマンが脚立に乗って取材をしたり、警備員が一般人を遠ざけたりする光景が珍しくないそうだ。
都心のラグジュアリーな街並みの中に、このようなヘリポートが存在することについては、賛否両論がある。「国の安全を守る大切な拠点」と肯定的に受け止める人もいれば、「戦争の名残り」と否定的にみなす人もいるようだ。
それでも、ヘリコプターが離発着する姿は、日常とは異なる非日常の風景として、見る人の心に印象深い何かを残すかもしれない。平和な都会の中に、かつての戦争の面影を感じさせる場所。そんな"東京paradox"を垣間見ることができるのが、この小さな六本木ヘリポートなのかもしれない。
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