岐阜市の住宅街に佇む、切通陣屋跡。この地には長い歴史が息づいています。南北朝時代の1339年、美濃国守護職の土岐頼遠が長森城を築き、城主となりました。しかし1353年、城が手狭になり、川手城に本拠を移しました。以後、土岐氏は川手城を拠点としました。
長らく廃城となっていましたが、1803年、安藤信成が切通陣屋を築きました。安藤氏はこの地を治め、明治維新後は笠松県の一部となりました。
今は静かな住宅街の一角に佇む史跡ですが、細い路地を入れば、かつての城下町の面影が垣間見えます。歴史に思いを馳せながら、足を運んでみてはいかがでしょうか。
切通陣屋跡は目立たない場所にあり、賑わいは感じられません。しかし、そこにこそ本物の魅力があります。
歩けば、石垣や空堀の名残が見え隠れし、かつての城郭の気配が漂います。そして周囲の静けさが、歴史の重みを感じさせてくれるのです。
観光スポットとしてはあまり知られていませんが、それが逆に良し。ゆっくりと散策しながら、時の重みに思いを馳せることができます。
切通陣屋跡を訪れれば、岐阜の歴史の核心に触れることができます。美濃国に栄えた土岐氏、安藤氏の足跡を辿り、城郭の移り変わりを体感できるのです。
史実に基づく説明板もありますが、それ以上に、場所から滲み出る歴史の息吹を感じ取ることができます。見渡す限りの住宅街こそが、かつては城下町であった証しなのです。
岐阜を深く知りたい人は、ぜひ足を運んでみてください。知る人ぞ知る、岐阜の歴史の粋を味わえるはずです。