世俗を離れ、静寂に包まれた境内へ足を踏み入れると、時の流れが緩やかになる気がします。禅昌寺は臨済宗の古刹で、建物の佇まいから歴史の重みを感じ取ることができます。庭園の万歳洞は、岩石の造形美と緑の趣が織りなす景観に魅了されるでしょう。
本堂に安置された、雪舟筆の大達磨像は必見の一品です。達磨は禅宗の開祖として知られ、質素な姿と堂々たる存在感は、禅の世界に誘う魅力に溢れています。細部までの緻密な描写に目を見張り、作者の高邁な技と想いに思わず心を奪われるでしょう。
境内には日本の巨木百選にも選ばれた大杉がそびえ立っています。幹周り12m、樹高45mの規模は圧巻で、この年輪に刻まれた時の重みに畏敬の念を覚えます。杉の巨体に見入り、自然の雄大さを感じ取れば、すべてをゆっくりと見つめ直す視点が養われることでしょう。
禅昌寺へは下呂市街地から車で15分ほど。観光タクシーを利用して詳しい解説を聞きながら訪れるのもおすすめです。駐車場は広めに用意されているので、マイカーでの立ち寄りも気軽にできます。
禅の心に触れるひとときを過ごせば、日常を新たな視点で見つめ返すことができるかもしれません。歴史ロマンに彩られた禅昌寺で、心静かな時間を味わってみてはいかがでしょうか。