藤沢の高級寿司店「鮨しみづ」に足を運ぶと、まず酢飯の香りが鼻孔をくすぐります。店主が客の目の前で炊き立てのご飯をシャリに仕上げる稀有な演出は、舌を刺激し食欲を掻き立てます。
ここでは新鮮な魚はもちろん、熟成した食材も織り交ぜて提供されます。まるで芸術品のような一品一品に、熟成の技と昔ながらの職人技が光ります。タコの火入れ具合、カツオの旨味、濃厚な皮剥。一つ一つに心が踊ります。
握りに移ると、シャリと具材のバランスに気付かされます。マグロが3貫続くのは意外でしたが、醤油、醤油、塩と味の変化を楽しめました。ただ、煮蛤と穴子のツメ味が続いたのは少し物足りない印象です。こうした細かい構成の違いに、コースへの こだわりを感じます。
最後はコーヒー風味の自家製最中で口直しです。食材へのこだわり、丁寧な仕事ぶり、大将・女将の心温まる接客。ここにはおいしさと極上の時間が共演しているのです。遠方からも足を運びたくなる、そんな逸品に出会えました。