大和郡山市の小径を進むと、格子戸から射し込む朝日に照らされた木々の葉が輝きを放っていました。そこには由緒ある源九郎稲荷神社が佇んでいました。境内に足を踏み入れると、清々しい木立の間から、鮮やかな朱色の社殿が覗いています。
源九郎稲荷神社は、武者修行の際に当地に立ち寄った源義経公にゆかりがある神社です。境内には義経公の銅像も安置されており、平安時代の華やかな気配を感じさせてくれます。小粋な狐の像がちらほらと佇み、境内のあちこちに癖になる味わいを醸し出しています。
朝の涼しい時間帯に訪れると、地元のおばあちゃん御一行がすでに手際よく掃除を始めていました。ガラス戸越しに見える境内の様子は、まるで情緒あふれる美しい絵画のようでした。丁寧に手入れされた花々に、人々の優しい心が垣間見えるような気がしました。
お守りを求めて参拝する人でにぎわう小さな社務所では、親しみやすい宮司さんが皆さんを出迎えてくれます。珍しい狐の御朱印は、手書きの温かみにあふれています。歌舞伎役者の参拝も多いというだけあって、伝統芸能の香りが漂うようです。
小粋な佇まいと歴史あるロマンに彩られた源九郎稲荷神社は、大和郡山の隠れた癒やしの空間。もしもこのような神社が近所にあれば、私も休日の朝に手伝いに駆け付けるのではないでしょうか。