一宮市の中心地から少し外れた住宅街の一角に、江戸時代からの歴史を感じさせる古民家を改装した隠れ家カフェ「絵馬」がある。塀に守られたこの小さな一軒家は、なかなか通りがかりでは気づかれない存在だ。しかし、地元の人々に愛される穴場の名店なのだ。
店内に入ると、錆びた鉄瓶や手作り雑貨に囲まれた昔ながらの居間が広がる。ここで出される料理は、すべて地元の食材を使った愛知の郷土料理だ。特に一番人気は、半世紀前から受け継がれた伝統の味「なごや飯」。ゴマと鰹節が絶妙にマッチした風味は、懐かしさと新鮮さを同時に感じさせてくれる。
昔ながらの佇まいを残しつつ、落ち着いた雰囲気も大切にされている。カップひとつを味わうひとときは、まるで時が止まったかのようだ。窓の外を見れば、のんびりとした路地の風景が広がる。都会の喧騒から離れ、ゆったりとした大人の時間を過ごせるのが「絵馬」の最大の魅力だろう。