下諏訪宿の中心に佇む桔梗屋は、創業300年以上の歴史を誇る老舗旅館です。かつて脇本陣として栄えたこの宿は、甲州街道の起点としても知られ、江戸時代から多くの旅人を迎え入れてきました。十返舎一九や安藤広重といった著名な文化人も宿泊したという逸話が、その歴史の深さを物語っています。
桔梗屋に一歩足を踏み入れると、まるで時代劇の世界に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。ピカピカに磨き上げられた廊下や、さりげなく飾られた野の花の生け花が、古き良き日本の情緒を醸し出しています。現代的な設備は控えめですが、それこそが桔梗屋の魅力。喧騒から離れ、ゆったりと時間が流れる空間で、心身ともにリラックスできるでしょう。
桔梗屋の食事は、地元の食材をふんだんに使った郷土料理の数々が楽しめます。諏訪湖で獲れたワカサギや馬刺し、旬の野菜を使った料理など、信州の豊かな食文化を堪能できます。量も多く、味も申し分ない食事は、多くの宿泊客から高い評価を得ています。
桔梗屋の温泉は、その泉質の良さで知られています。ナトリウム・カルシウム・塩化物硫酸塩泉という泉質で、肌にやさしく、美肌効果も期待できます。かなり熱めのお湯ですが、化粧水いらずと言われるほどの潤い効果があり、アトピーの方にも好評です。源泉掛け流しの湯を存分に楽しみ、日々の疲れを癒してください。
桔梗屋の魅力は、建物や設備だけではありません。気さくで話好きな女将さんの存在も、この宿の大きな魅力の一つです。親身になって対応してくれる女将さんとの会話は、旅の思い出をより豊かにしてくれることでしょう。
桔梗屋は、現代の快適さを求める方には物足りなく感じるかもしれません。しかし、日本の伝統的な宿の雰囲気を存分に味わいたい方、歴史に興味がある方、そして本当の意味でのリラックスを求める方にとっては、この上ない選択肢となるでしょう。
下諏訪を訪れた際は、ぜひ桔梗屋で一泊し、江戸時代から変わらぬ温かいおもてなしと、悠久の時の流れを感じてみてはいかがでしょうか。きっと、忘れられない思い出となることでしょう。