四国別格二十霊場第8番札所、十夜ヶ橋の歴史に思いを馳せる記事。
平穏な川面が広がる大洲市東大洲。そこに佇む十夜ヶ橋永徳寺には、弘法大師空海の逸話が息づいています。四国を行脚中の大師が、ここで一晩を過ごされたことから名づけられた「十夜ヶ橋」。わずか一夜でしたが、悩みを抱える人々への思いから、十夜のように長く感じられたと伝わります。
川沿いに建つ本堂は、西日本豪雨の被害から現在再建中。高速道路インターに近い賑やかな場所でありながら、境内には静謐な雰囲気が漂っています。橋の下では黒々とした鯉の姿も見られ、大師が過ごされた一夜を想像させてくれます。
四国八十八か所を巡る参詣道中の方々が、この地を通ることも多いでしょう。ほんの一夜の出来事がそのまま名前となり、永く語り継がれている十夜ヶ橋。参道を行く人々に、改めて生きることの意味を問いかけてくれる、魅力的な霊地なのです。