善福寺は、奈良の地に七百有余年の伝統を刻む名刹です。本堂の木造建築は、近年改築されその佇まいを一新しましたが、その存在感は境内に心穏やかな空間を醸し出しています。木々の緑陰の中を歩めば、まるで時の流れが止まったかのような静寂に包まれることでしょう。
この寺院には、ユニークな伝統芸能がひそんでいます。それは、中国の二胡を操る坊主の姿です。七夕の季節には特別なコンサートも開かれ、法衣に身を包んだ僧侶の二胡の調べが参拝者を魅了します。静謐な響きの中に、東洋の精神性が籠っているかのようです。
境内には、茶室も併設されています。日々の喧騒を離れ、一服の茶を味わえば、きっと心に新たな気づきが芽生えるはずです。お茶の香り、湯煙の情緒、そして周りの景色がひとつとなり、禅の境地へと導いてくれるでしょう。
善福寺での一時は、言葉では言い尽くせない体験となることでしょう。奈良の歴史の中に偲ばれる仏教の教えを、五感に刻むひと時をお過ごしください。