滋賀県大津市の小高い丘に佇む小野神社。この地は、古代から篤く信仰を集める小野一族の発祥の地です。奈良時代には延喜式内社に列し、平安時代には名神大社とも呼ばれた名門の社寺です。境内には、漢学者の小野篁公を祀る小野篁神社も鎮座しています。
小野神社の御祭神は、天足彦国押人命(あめたらしひこくにおしひとのみこと)と米餅搗大使主命(たがねつきのおおおみのみこと)。後者は日本の餅つきの祖神とされ、菓子の神としても崇められています。境内に点在する「夫婦円満の木」や「パワーの木」など、自然に宿る霊力にも注目が集まります。
小さな社域ながら、木々の緑と清流の流れが、時を越えた雰囲気を醸し出しています。無人の社務所では、御朱印を自筺にいただけます。明確な願いを胸に、ひっそりと御参りをするのがおすすめです。平安時代以前から続く小野神社は、訪れる者に勇気と生命力を吹き込んでくれるかもしれません。
古里の文化と自然に包まれた小野神社は、訪れる人々に物語と魂の安らぎを届ける、風情ある神社です。近江の旅に一度は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。