京都市左京区の深い緑に抱かれた鞍馬山。参拝客でにぎわう この地に、明治時代から営む老舗そば処「油屋」がある。
油屋は1887年(明治20年)の創業。店内に飾られた当時の写真が、長い年月を重ねてきた風格を物語る。京町家を思わせる佇まいと、のれんが風に揺れる姿に、いにしえの京都が息づいている。
油屋自慢のそばは、もちもちとした食感と上品な甘みが特徴。出汁は昆布と鰹のダシを合わせた京都らしい味わい深いつゆで、山椒の香りが食欲をそそる。
人気の「しし肉そば」は冬季限定。しし肉の旨味と山椒が絶妙にマッチし、身体の芯から温まる一杯だ。夏場は「冷やし温泉玉子そば」がおすすめ。ごま油の風味が絶品の冷たいつゆとよく合う。
そばに加え、油屋の名物料理も見逃せない。鮎の甘露煮は老舗ならでは の味。やわらかく味付けが絶妙だ。また、親子なんばそばや鳥なんばそばなども評判がいい。
静かな参道沿いにひっそりと佇む油屋は、京都の喧噪を離れた秘境のよう。そばと料理を味わいながら、京都の風情に浸ることができるだろう。鞍馬山を訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてほしい一軒だ。