長野県下伊那郡の静かな山里、泰阜村。そこに広がる緑豊かな自然の中に、かつての小学校の校舎を改装した「泰阜村立学校美術館」があります。レンガ造りの味わい深い校舎は、1930年代の建築当時の佇まいを残しつつ、木の温もりあふれる展示空間に生まれ変わっています。
美術館の名を冠する「倉沢興世」は、この地に生まれた洋画家です。そのユニークな人物画が館内に多数展示されており、村人の生活を描いた作品からは、彼の故郷への深い愛着が伝わってきます。また、金属細工の巨匠「井口友晴」の作品も併せて鑑賞できます。
美術品の鑑賞だけでなく、かつての教室や職員室を再現したコーナーも見どころです。黒板に残る書き込みや、レトロな教具や生徒の作品が、昔ながらの学校の風景を偲ばせてくれます。
美術館の中庭には、昔ながらの農家の台所をモチーフにしたカフェがあり、自家栽培の野菜や山の幸を使った体に優しい料理が味わえます。地元の味とアートに触れられる、この非日常的な空間は、ゆったりと過ごすには格好の隠れ家スポットです。
最寄りの駅は、しなの鉄道「上村駅」です。車でもアクセスできますが、路地が狭いので公共交通機関がおすすめ。美術館の周辺には民家も点在しており、散策を楽しめる小さな村です。近くの宿泊先としては、下伊那郡の温泉宿や農家民宿が良いでしょう。