太閤秀吉による大工事で築かれた大阪城には、かつて威風堂々たる姫門がありました。しかし、時の移ろいとともにその姫門は消え去り、今では跡形もなく、空しい空間が残るのみです。そんな"見えない"史跡を訪れる旅は、想像力を掻き立ててくれるはずです。
姫門の面影を訪ねる旅は、大阪城の北西に位置する「姫門跡」から始まります。ここは、かつて雄大な姫門が佇んでいた地だったのです。今では平地になっていますが、両脇の石垣から当時の佇まいが偲ばれるでしょう。
大阪城を一望できるこの景色の中に、姫門の輝かしい姿を想像してみてください。豪華絢爛な朱色の門扉、鬱蒼とした瓦葺き屋根、堂々たる石造りの土台……。城門を構成する要素ひとつひとつに思いを巡らせながら、視線の先に往時の雄姿を蘇らせてみましょう。
「姫門跡」を出発点に、大阪城内を散策するのも良いでしょう。堀に沿って進めば、多聞櫓や山里門、山里口門といった遺構に出会えます。これらを順に巡りながら、当時の城郭の佇まいを思い描いていけば、"見えない"姫門にも次第に馴染んでいけるはずです。
時折石垣の合間から覗く天守閣を眺めれば、戦国時代へとタイムスリップしたような気分に浸れるかもしれません。いにしえの城門を前にすれば、ますます想像力が掻き立てられることでしょう。
史跡という遺産は、わたしたちに時空を超えた想像力を与えてくれます。今は姿を消した姫門を訪ねる旅は、その象徴的な体験と言えるでしょう。"見える"ものだけに囚われずに、目に見えないものを思い描く。そんな力を養う機会として、ぜひ姫門跡を訪れてみてはいかがでしょうか。