瀬戸内海に浮かぶ尾道の静かな町並みの中に、茶道美術展示館(僧宝蔵)はあります。この展示館は、かつて尾道にあった名門・耕山寺の住職であった耕三が蒐集した、貴重な茶道具の数々を収めた潮声閣コレクションの一部を公開している場所です。
展示館に足を踏み入れると、まるで時間が止まったかのような、穏やかな雰囲気に包まれます。茶碗や茶釜、棗などの茶道具一つひとつが、匠の技と心意気を今に伝えています。これらの作品を鑑賞しながら、茶の湯の根源にある「和哉」の心に触れることができるでしょう。
展示室の窓からは、瀬戸内の景色が臨めます。潮風に揺れる木々の緑、波打ち際の音、そして茶の香り。この地に根付く茶道文化と自然が調和した空間で、五感を研ぎ澄ませば、日常を離れた別世界への扉が開かれるかもしれません。
茶道具に織り込まれた技と心に出会える貴重な機会。茶道美術展示館は、茶の湯の精神に触れ、心の静けさを体感できる場所です。訪れる人々に、時を超えた日本文化の香りが心に残ることでしょう。