京都の名所・銀閣寺の近くに佇む小さな寺院、浄土院。その歴史は平安時代にさかのぼり、皇族や貴族との深い繋がりを持っていました。境内に足を踏み入れると、京都らしい風情に包まれます。
浄土院は、もともと天台宗の浄土寺として986年に創建されました。有明親王の妃・藤原暁子が出家し、その子明救が入寺したことから皇室とゆかりが深い寺でした。近衛家からも寄進を受け、足利将軍家の人も入寺するなど、権門の人々に支持されてきました。
浄土院は「大文字寺」とも呼ばれ、京の夏の風物詩である大文字焼の護摩木を管理しています。御朱印をいただけば、五山送り火の歴史にも触れられます。ここに来れば、京都の夏を肌で感じられるでしょう。
小さな境内には、丹後局(高階栄子)の立像が安置されています。美しさを讃えられた彼女が晩年を過ごした場所だったということで、平安貴族の面影を偲ぶことができます。また、適度に手入れされた枯山水の小庭園も、静かな佇まいを醸し出しています。
歴史と文化が息づく浄土院は、賑やかな銀閣寺への小径からひとそれた、京都の隠れ名所。ひと時の喧噪を離れ、時の重みと風情に触れてみてはいかがでしょうか。
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