熊野本宮大社の旧社地、大斎原。ここに立つと、まず目に飛び込んでくるのは日本一の大きさを誇る朱色の大鳥居です。高さ33.9メートル、幅42メートルという圧倒的なスケールは、訪れる人々を唖然とさせます。八咫烏(やたがらす)のデザインが施されたこの鳥居は、熊野の歴史と神秘を物語る象徴的な存在です。
大斎原は、かつて熊野詣でを行う人々の重要な目的地でした。今は建物こそありませんが、この地に漂う神聖な空気は、千年以上の歴史を持つ熊野古道の魂を今に伝えています。静寂に包まれた境内を歩けば、古来より人々が求めてきた癒しと力強さを感じることができるでしょう。
三本の川に囲まれた中洲に位置する大斎原は、自然との調和が美しい場所です。特に春には鳥居の下に咲き誇る桜が、神秘的な風景を作り出します。また、熊野川の堤防に上れば、上流から下流まで見渡せる開放的な眺めを楽しむことができます。
近年、大斎原はパワースポットとしても注目を集めています。訪れる人の中には、この地の強いエネルギーに涙する方もいるほど。二つの祠が祀られた奥の神域では、さらに強いパワーを感じることができるでしょう。
1889年の大水害により、熊野本宮大社は現在の場所に移転を余儀なくされました。この歴史的事実が、大斎原の神秘性をさらに深めています。かつては橋もなく、参拝者は川を渡る際に体を清めてから参拝したという逸話も、この地の聖性を物語っています。
アクセスは少し不便かもしれませんが、大斎原を訪れる価値は十分にあります。日本一の大鳥居、豊かな自然、そして千年の歴史が織りなす神秘的な雰囲気は、きっと訪れる人の心に深く刻まれることでしょう。和歌山が誇る、この素晴らしいスポットでの体験は、忘れられない思い出となるはずです。