京都の寺院では、普段は一般公開されていない塔頭があります。そんな貴重な場所の一つが、東福寺の塔頭「一華院」です。季節ごとに期間限定で公開されるこの寺院は、京都の隠れた名所と言えるでしょう。
一華院の魅力は、四つの異なる趣の庭園が楽しめることです。入り口近くには、青龍に見立てた松が訪れる人を出迎えます。そして南側には、朱雀をイメージした「依稀松庭」が広がっています。
西側の「虎靠山庭」は、重森千靑氏の作品で、山をモチーフにした石組みが印象的です。一方、北側には「彷彿石庭」と呼ばれる枯山水庭園が設けられており、簡素な美しさを感じさせてくれます。
一華院は通年非公開ですが、秋の時期には特別に一般公開されます。この季節、鮮やかな紅葉が境内を彩ると共に、苔庭の趣も楽しめます。寺院の歴史に触れながら、四季折々の自然の移ろいを体感できるのが魅力です。
一華院を訪れる際は、書置きの御朱印をいただくことも可能です。様々な種類があるので、気に入ったデザインを選んでみるのも良いでしょう。
一華院は、京都にいながら秘境のような雰囲気に浸れる場所です。普段は立ち入ることのできない塔頭を、特別な時期に拝観できるのは貴重な体験といえます。四つの個性的な庭を巡りながら、京都の奥深い魅力に触れてみてはいかがでしょうか。