高松市の港町・庵治にある桜八幡神社は、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケ地として知られています。主人公がバイクで疾走した赤い橋と長い石段の参道が印象的で、映画ファンから多くの人々が訪れています。
しかし、この神社には映画以上の魅力があります。木花開耶姫命を主祭神とし、平安時代に八幡神を勧請して以来、1300年の歴史を誇る格式高い八幡宮なのです。氏子を地域に広げた総社として、庵治半島一帯の信仰を集めてきました。
参道に並ぶ狛犬や、明治期に鐘楼から手水舎に改められた建物、豊臣秀吉が寄進したという「つつじ」の太鼓など、時代の重みを感じさせる風物が目を引きます。また、瀬戸内の島々や遠く屋島までの展望も素晴らしい眺めです。
桜八幡神社は、一見地味な住宅街にあるお宮ですが、その歴史の重みと景観の美しさは想像を超えるものがあります。映画の一場面を求めて訪れた人も、静けさの中に古刹の雰囍を感じ取れるはずです。ぜひ、ゆっくりと参拝の時間を味わってみてはいかがでしょうか。