有馬温泉は、日本最古の湯治場として知られる由緒ある温泉地です。その歴史は神話の時代にさかのぼり、大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこのみこと)の二柱の神が、三羽の傷ついた鳥が湧き出した泉で傷を癒したことに始まったと伝えられています。
7世紀には天皇が湯治に訪れたという記録が残されており、奈良時代には行基菩薩が有馬に足を運び、温泉寺を建立しました。平安時代には僧侶の仁西が12の宿坊を設け、江戸時代に入ると有馬の名は全国に知れ渡りました。徳川家康も湯治のために訪れたと伝わる由緒ある湯治場なのです。
源泉から湧き出す温泉は、芳ばしい硫黄の香りが漂う名湯です。温泉街では、のんびりとした時の流れを体感できます。日本最古の湯築といわれる溜め湯や、豪華な湯殿が残る旅館なども見どころ。歴史に思いを馳せながら、ゆったりと温泉を堪能できるのが有馬の醍醐味と言えるでしょう。
歴史と文化に彩られた有馬温泉は、数々の逸話とともに人々を魅了し続けてきました。古き良き趣きを残す温泉街の情緒に浸りながら、霊泉の恵みに身を委ねる。この上ない極上の湯治体験ができるのが、有馬温泉の最大の魅力なのかもしれません。