福山市の小さなお好み焼き店「一二三」に足を運ぶと、ここは普通のお好み焼き屋さんではないことがすぐにわかります。鉄板の上で繰り広げられる、老舗が誇る逸品の数々。マスターと呼ばれる女将の人柄の良さと気配りが光る接客。そして何より、お好み焼きの新たな可能性を求め続ける情熱が、この店の魅力を形作っています。
お好み焼きは広島を代表する名物ですが、「一二三」はその伝統を大切にしつつ、様々な焼き方に挑戦し続けています。府中焼き、福山焼き、土俵焼きと、ご当地バリエーションはもちろん、韓国焼きまで用意されています。
生地に七味をたっぷり振りかけた韓国焼きは辛党にはたまらない一品。逆に、押し付けずふわふわな焼き上がりを楽しめる土俵焼きは、口当たりの良さが絶品です。
「最近はペタペタ叩くお店が多いけど、ここはほとんど押し付けることがない」と評判なのも、マスターの手際と技量の賜物です。お客さんの目の前で焼かれるその様子を見るだけでも、職人技に触れる醍醐味があります。
「一二三」を訪れた人々を虜にするのは、お好み焼きの味わいだけではありません。マスターと若手スタッフの人柄の良さと心のこもった接客も、この店の大きな魅力なのです。
最初は無愛想に見えるマスターも、話し込むうちにスッと打ち解けてくれます。お客さんの様子をよく見て、気配りを怠りません。メニューにないキムチをトッピングしてくれたり、酔っ払いを制止したり。そんな心憎い人情味にあふれる一面が、常連客を惹きつけているようです。
居酒屋のような賑やかな雰囲気の中で味わえるお好み焼きは、ひとくちで幸せな気分に包まれます。ノンアルコール飲料でつい物足りなくなるくらい、お酒が進むはずです。
「一二三」は、お好み焼きの新境地を開く"錬金術師"のような存在です。ぜひ一度足を運び、そのこだわりの技と心に触れてみてください。きっと広島のソウルフードに、新たな魅力を発見できるはずです。