日暮里駅から徒歩1分、御殿坂を上がってすぐのところに佇む本行寺。江戸時代から「月見寺」の愛称で親しまれてきたこの寺院は、500年近い歴史を持つ荒川区の隠れた名所です。
本行寺の起源は1526年、江戸城内に遡ります。太田道灌の孫、太田資高によって建立されたこの寺は、江戸時代を通じて神田や谷中を経て、1709年に現在の地に移転しました。境内には道灌ゆかりの「道灌丘碑」が残されており、戦国時代の面影を今に伝えています。
本行寺は江戸時代、多くの文人墨客が訪れた文化の中心地でもありました。特に有名なのは小林一茶。彼はしばしばここを訪れ、「青い田の、露をさかなや、ひとり酒」という句を詠んでいます。静かな境内を歩けば、一茶の目に映った風景に思いを馳せることができるでしょう。
本行寺の魅力は季節ごとに変化します。春には美しいしだれ桜が咲き誇り、夏には沙羅双樹の実が実ります。そして秋には「月見寺」の名にふさわしい月見スポットとなり、冬は静寂に包まれた庭園が心を落ち着かせてくれます。
JR山手線・京浜東北線・常磐線、京成線、日暮里舎人ライナーの日暮里駅北口から徒歩約1分という好立地。近くには「夕焼けだんだん」と呼ばれる夕日の名所もあり、本行寺を起点に荒川区の歴史と文化を巡る散策コースを楽しむこともできます。
歴史、文学、自然が織りなす独特の雰囲気を持つ本行寺。喧騒の東京にありながら、ゆったりとした時間が流れるこの場所で、あなたも心穏やかなひとときを過ごしてみませんか?