広島の宮島は、景勝地としてだけでなく精神的な癒しの地でもあります。古来より多くの参拝者が訪れ、その面影を今に伝える「ろかい舟」は、まさに時空を超えた体験を提供してくれます。
ろかい舟は、厳島神社の前を流れる潮の満ち引きに合わせて運行されます。船は、潮が満ちて大鳥居の下をくぐれるタイミングでのみ出航するため、月に10日ほどしか機会がありません。乗船のチャンスは限られていますが、それが逆に希少な体験を演出しているのです。
ろかい舟に乗り込むと、まず圧巻の大鳥居がすぐ目の前に現れます。櫓と櫂で操られる小舟は、鳥居の下をくぐり抜けていきます。この体験は、かつて海上から参拝する方法を伝統的に再現したもの。語り部の解説を聞きながら、古からの歴史に思いを馳せることができます。
ろかい舟の舟頭たちは、安全運航に加え、乗客へのきめ細やかな心遣いにも長けています。年配の方への乗船介助や、波による揺れへの気遣いなど、彼らの親しみのある笑顔と対応に接客の心がうかがえます。
宮島訪問の際は、ぜひろかい舟に乗船し、限られた時間の中で歴史に思いを馳せてみましょう。かけがえのない体験が、あなたを待っています。