香川県高松市の山懐に佇む第85番札所・八栗寺。標高230mの岩山を登り詰めれば、そこには弘法大師により開かれた仏国が広がります。参道を歩みを進めるごとに、まるで時空を超えたかのような神秘的な雰囲気に包まれていきます。
山頂直下の岩陰に作られた本堂には、高さ5mを超える白衣観音像が鎮座。山の神を宿した巨岩に抱かれ、まるで永遠の命を宿す仏国そのものといった風情があります。遙か昔から霊場とされ、今なお修行の地として人々に畏敬の念を抱かせます。
境内には所々に立つ朱塗りの鳥居が目を引きます。これらが織りなす結界は、一見すると神社を彷彿とさせますが、実はこの地の祟り払いの印。大自然の脅威から人々を守るべく、神と仏との加護を仰ぎながら開かれた聖域なのです。
山麓からは険しい表参道や裏参道を登る他、現代的な手段としてケーブルカーも利用できます。しかし、歩いて至る道中の雄大な景色や、樹間からの眺望は昔の参詣の風情をたっぷりと味わえること請け合いです。
八栗寺は、時を超えた神秘的空間でありながら、現世への立ち返る場所でもあります。人々に平安を願い続けてきた、この霊地の息吹を感じに訪れてみませんか。