庄内平野の緑の海に浮かぶ島のように、城輪柵跡は静かに佇んでいます。この地は、かつて平安時代の出羽国府があった土地と推定されています。田園風景の中に突如現れる東西の門は、行き交う人々の姿が目に浮かぶかのようです。
復元された政庁東門と政庁南門は、広大な空間に威風堂々と構えています。この場所が出羽国の中枢であった時代、多くの人々が往来し、熱気に満ちていたことでしょう。出羽国府は出羽柵、そして秋田城と移転を重ねましたが、遺構が示すように城輪柵はその最後の拠点であったと考えられています。
平安文学の名作「古今和歌集」に名を連ねる小野小町の出身地について、ここ城輪柵があげられる説もあります。秋田城があったころの出羽は内乱に見舞われた時期もあり、小町がこの地で生まれ育った可能性は決して低くありません。庄内平野を眺めながら、彼女の姿を思い浮かべてみるのも一興かもしれません。
城輪柵跡は遠く離れた場所にあり、公共交通機関のアクセスが不便です。お車でお越しの際は十分な燃料を確保し、周辺の道路状況にもご注意ください。遺跡内は土が露出している場所もあり、履き物には気を付けましょう。また、夏場は日陰が少ないため、帽子や日傘などの日よけ対策をおすすめします。
人々の行き交いを感じさせる城輪柵跡で、古代出羽の息吹に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。歴史に思いを馳せながら、この地の雄大な自然の景観も堪能できる、貴重な観光スポットです。
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