渋温泉は長野県の山間に佇む秘境の温泉地。その中心に位置する「ひしや寅蔵」は、250年を超える歴史を誇る老舗旅館です。木造りの重厚な佇まいからは、時を越え受け継がれてきた風情が伝わってきます。
ひしや寅蔵の自慢は、敷地内にある3つの異なる源泉から湧く温泉です。露天風呂、内湯、貸切風呂それぞれに趣が異なり、日替わりで楽しむ醍醐味があります。硫黄分を含んだ渋温泉の湯は、古来より疲労回復や美肌効果で知られています。
客室は、木造りの重厚な造りと畳の香りが漂う古風な作りが特徴です。近代的な設備は控えめですが、先人から受け継がれた風情あふれる空間は、旅の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。一方で、お料理はこの地方の旬の味覚を盛り込んだ逸品ばかり。歴史を感じながらも、現代の味覚に応える心づくしの料理が提供されます。
高齢のスタッフの対応に戸惑うシーンもありますが、そこに小さな愛らしさを感じる旅人も多いはずです。レトロな雰囲気と静かな時の流れに身を任せると、かけがえのない思い出が生まれるかもしれません。歴史ある温泉旅館だからこそ、ささやかな驚きやユーモアに出会えるのかもしれません。
渋温泉へと足を伸ばした旅人は、ひしや寅蔵で受け継がれてきた時の趣きと、郷土の味を心ゆくまで堪能できるはずです。