伊勢神宮の外宮別宮の一つ、風宮(かぜのみや)。この小さな社には、日本の神道文化と自然への畏敬の念が凝縮されています。古来「風社」と呼ばれ、多賀宮への参道沿いに佇む風宮は、その静謐な佇まいで訪れる人々を魅了し続けています。
風宮では、級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)という二柱の神が祀られています。これらの神々は風雨を司り、農業や航海の安全を守護すると信じられてきました。毎年5月と8月に行われる「風日祈祭」では、適度な風雨と豊作を祈願する神事が執り行われ、自然との調和を大切にする日本人の心が今も脈々と受け継がれています。
風宮の歴史は、日本の危機と深く結びついています。元寇の際に吹き荒れた神風は、この風宮の神威によるものと伝えられ、その功績により1293年に別宮へと昇格しました。外宮の別宮としては4番目の位にあり、その重要性がうかがえます。
風宮は年中参拝可能ですが、特に風日祈祭が行われる5月14日と8月4日前後は、神事の雰囲気を感じられる特別な時期です。また、早朝の参拝では、清々しい空気の中で静かに祈りを捧げることができるでしょう。
伊勢市駅から徒歩で約20分、または市内循環バスを利用すると便利です。外宮参拝と合わせて訪れるのがおすすめです。周辺には他の別宮や飲食店も多く、伊勢の文化を存分に楽しめます。
風宮を訪れることは、単なる観光以上の意味があります。それは、自然の力と人間の営みの調和を再認識する機会でもあるのです。風の神様の前で深呼吸をし、日々の喧騒を忘れてみてはいかがでしょうか。きっと、新しい風があなたの人生に吹き込まれることでしょう。