古代ヤマト王権の精神的支柱ともいわれる東大寺山古墳。その雄大な姿は、時を経ても色あせることのない魅力を放っています。
東大寺山古墳は、奈良県天理市に所在する前方後円墳です。全長130~140mと規模が大きく、4世紀に築造されたとされています。古代ヤマト王権を支えた和珥(わに)氏の本拠地にあり、その勢力を物語る貴重な遺産といえるでしょう。
発掘調査により、金象嵌の入った国宝級の大刀や腕輪、銅器などの副葬品が多数出土しています。中でも「金象嵌花形飾環頭大刀」は、中国の年号が刻まれた日本最古の紀年大刀として著名です。卑弥呼に贈られた大刀とも伝えられ、邪馬台国の謎に新たな示唆を与えてくれます。
残念ながら、東大寺山古墳は現在のところ復元整備がなされておらず、竹藪に囲まれた姿からは古墳の風格を感じ取りにくい状況です。しかし、同じ東大寺山古墳群の「赤土山古墳」は立派に復元されているので、そちらで雰囲気を堪能するのがおすすめです。
見学する際は、天理教の城法大教会の敷地内にあることから、事前に教会事務所に一声かけておくと良いでしょう。教会も来訪者を快く受け入れてくれる"おじばがえり"の心がけがあるそうです。
時代を超えて残る東大寺山古墳の面影に思いを馳せながら、古代ロマンを感じてみてはいかがでしょうか。