北海道の東側に位置する松前郡。そこには、雄大な自然と静かな田園風景が広がる福島町があります。町の中心部から少し外れた場所に、見るからに歴史を感じさせる木造校舎がひっそりと佇んでいます。その名はチロップ館。ここは、かつて白符小学校として126年もの長きにわたり子どもたちの学びの場でした。
校舎に足を踏み入れると、そこは文字通りの"時空を旅する博物館"。教室には、太い黒板とノスタルジックな机や椅子が残されています。階段を上がると、懐かしの日用品や生活雑貨があふれんばかり。六月節句の人形や絵馬、そしてかつて使われていた農機具も展示されています。おもちゃからキッチン雑貨まで、昔懐かしいものが無数に並びます。
こうした展示品以外にも、チロップ館には体験の場が用意されています。屋内の体育館では運動会の雰囲気を味わえるほか、お雛様や鯉のぼりの実物を間近で眺められます。校庭にはしゃがれ木がありますし、懐かしの景品箱から賞品をゲットできるコーナーも。昔ながらの遊びや体験を通して、子どもから大人まで楽しめる工夫がされています。
チロップ館が地域に密着しているのも特徴のひとつです。地元の方々が館の運営や施設の管理を手伝っています。そのお陰で、大切に保たれてきた歴史ある品々をここで見ることができるのです。
現代化が進み、昔の面影がどんどん失われつつある今こそ、チロップ館のような場所の存在が重要になってきました。街並みの中に佇む白い校舎は、まるで時が止まったかのようです。ここを訪れて、懐かしい匂いと風景に包まれれば、きっと心に残る思い出を作れるはずです。