益田市の中心部から車で30分ほど離れた山間の小さな集落、中垣内町にある大道山。標高735mと島根県内でも有数の高さを誇るこの山は、遠くから見ると丸く優しい印象を受けますが、実際に登ってみるとその手強さに驚かされることでしょう。
大道山へは中垣内町の奥まった場所から登山口があり、最初の数百メートルは緩やかな登り。しかし、本格的な登山道に入ると一気に傾斜が急になり、足元の悪い岩場を慎重に進まねばなりません。経験値の高いハイカーでも軽く見すぎてはいけない山行となります。
しかし、その苦労も一陣の風に吹き飛ばすくらい景色の良さに見とれてしまうでしょう。木々の間から射し込む光、清々しい空気に包まれながら息を整えるひとときは、都会の喧騒を忘れさせてくれます。鳥の声が近くで聞こえてくるかもしれません。
標高は高くとも頂上まではそれほど時間がかからず、早朝からスタートすれば朝日が昇るのを山頂で迎えられます。遮るものが何もない雄大なパノラマ風景に加え、朝日に染まる大地の色彩は格別です。一生の思い出に残る壮大な光景が待っている、島根の隠れた名峰なのです。