こちらは奈良で有名な太安万侶の墓についての観光記事となります。
昭和54年の出来事だった。築年数の経った茶畑の改植中、偶然に発見された一つの火葬墓。墓誌から、古事記や日本書紀の編纂に携わった太安万侶の墓である事が判明し、学界を騒がせる一大発見となったのです。
田園風景の中に佇む太安万侶の円墳は、ひと際目を引く存在感があります。斜面に構えられた急な階段を登れば、その姿を拝むことができます。足腰の強い方なら問題ありませんが、階段の勾配が厳しいため、高齢者や足腰の弱い方は注意が必要です。
墳丘の上から望む茶畑の景色は格別。記紀の編纂に従事した太安万侶の孤高の生き様に思いを馳せながら、静かな田園風景を眺めれば、歴史に想いを巡らすひと時が味わえるでしょう。
墓からは、墓誌の他に真珠が出土しています。橿原考古学研究所の博物館では、これら出土品の他に墓の復元模型なども展示されているので、訪れた際は是非立ち寄ってみてください。
こうした出土品からは、太安万侶の身分の高さが窺えます。墓の場所が山間の僻地にあるのは不思議ですが、編纂に専念する為だったのかもしれません。
最寄りの奈良ICから車で20分ほど。山間の細い道を進む必要がありますが、道なりに進めば目的地に到着します。トイレがあり、数台なら駐車も可能です。
周辺には田原本町の映画「殯の森」の舞台にもなった名所や、太安万侶が祀られている寺社があり、ゆったりとした散策を楽しめます。田園風景の中で古の偉人の足跡を辿るのは、特別な体験となるはずです。
奈良には数多くの史跡が点在していますが、そのルーツは古事記にあります。この機会に、記紀編纂に携わった太安万侶の墓を訪ね、歴史の重みを感じてみてはいかがでしょうか。