奈良県大和郡山市にある柳町商店街は、一見普通の商店街のように見えるが、実はその一角に"金魚ストリート"という珍しい名所が存在する。昔ながらの情緒あふれる町並みの中で、色鮮やかな金魚たちが行き交う光景は、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのようだ。
金魚は奈良と深い関わりがある。平城京が置かれた奈良盆地に金魚が伝わったのは7世紀といわれ、奈良時代から庶民の娯楽として親しまれてきた。この地で育まれた金魚文化は、現代に至るまで継承され、金魚ストリートはその伝統の象徴的存在となっている。
商店街を歩けば、至る所に金魚の姿があふれている。古びた町家の店先に並ぶ色とりどりの金魚水槽、金魚の形をしたラムネやアイスクリーム、金魚すくいの屋台など、金魚にまつわるさまざまな風物詩が楽しめる。
中でも気軽に体験できるのが、500円で参加できる「御金魚帳」というスタンプラリー。店先の金魚水槽の中に隠された謎を解きながら、周辺の店を巡りスタンプを集めていく。散策を通じて金魚ストリートの魅力を存分に堪能できるだろう。
金魚ストリートへは、近鉄奈良駅から徒歩20分ほどで行ける。近鉄大和西之阪駅からも徒歩圏内にある。奈良県内には数多くの宿泊施設があり、特に4~5月の新緑シーズンや紅葉の季節は人気が高い。金魚ストリートを訪れる際は、奈良公園や東大寺など古都の名所も併せて巡ることをおすすめする。
金魚ストリートは、昔ながらの情緒と風情を色濃く残す奈良ならではの魅力的な名所だ。金魚文化に触れながら、ゆったりと流れる時間を味わえるはずだ。古都の町並みを歩き、路地裏の風情に浸る。そんな贅沢な体験ができる、まさに奈良の隠れた名所なのである。