宮古諸島にある南大東島は、美しい自然と珍しい文化が織りなす魅力に溢れた島です。熱帯の植生に包まれた神聖な大東神社は、数々の驚きと発見に出会える観光スポットです。
大東神社の参道を歩めば、まず目に飛び込んでくるのが江戸時代の相撲文化です。境内には屋根付きの立派な土俵があり、歴代の優勝者の名が掲げられています。島民たちは西と東に分かれ、違う色の回しを巻いて相撲を行う伝統を守り続けています。島外からの来訪者も参加できるそうで、機会があれば地元の人々と交流を深められそうです。
参道を進むと、南国の植物と日本の神社がめずらしく共存する光景が広がります。熱帯雨林のような木々の間から朱色の鳥居が顔を覗かせ、鮮やかな花が祭壇を彩ります。自然と人工、南と北、それらが見事に調和した神域は、訪れる人々に不思議な臨場感を与えてくれます。
一方で、この島にも外来種問題の影がさしかかっています。かつて島に持ち込まれたミヤコヒキガエルが天敵不在のため大量発生し、道路には無残にも轢き殺された亡骸が転がっているのです。人間の思慮の浅さが生態系を乱す事例が、ここにも見て取れます。私たち旅行者一人ひとりが、島の自然環境に大きな影響を及ぼしかねないことを自覚すべきでしょう。
南大東島への旅は、大自然の神秘と驚きの文化に出会うひとときです。しかし同時に、環境保護の重要さを実感する機会にもなるはずです。島を訪れる前に、その持つさまざまな魅力と課題を知っておくことが望まれます。