奈良には、数々の神秘に彩られた史跡が残されています。その一つが、市街地の一角に佇む崇道天皇社です。小さな社殿ながら、厳かな空気に包まれているこの神社には、悲しい運命を辿った早良親王の魂が祀られているとされています。
崇道天皇社の主祭神は、平安時代の第58代天皇・崇道天皇の異父弟にあたる早良親王です。わずか11歳で出家を強いられ、やがて淡路島に流された早良親王は、21歳の若さで非業の死を遂げました。この無残な死に様から、祟り神として恐れられるようになったと伝えられています。
崇道天皇社は、市内の御霊神社とともに「南都二大御霊社」と称されています。御霊神社が崇道天皇の霊を鎮める役割を担うのに対し、崇道天皇社は早良親王の怨霊を祀ることで、両社が奈良の平安を守る御利益があるとされています。
奈良の町並みを歩きながら、この小さな神社に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。親王の悲しみに思いを馳せながら、奈良の歴史に想いを巡らせるひとときになるかもしれません。
崇道天皇社は御朱印の種類も豊富で、月替わりの御朱印や切り絵の御朱印など、趣のある品々が用意されています。御朱印を集めるのが趣味の方にもおすすめの神社です。ただし、社務所の開館日が限られているようですので、事前に確認するのがよいでしょう。