北海道の風物詩として親しまれている布袋点心舗 弁財天。その伝統の味わいと上質なサービスは、札幌の中心地すすきのに佇む姉妹店でも健在だ。
店内に足を踏み入れると、典型的な中華料理店の装飾が目に飛び込んでくる。アンティークの食器や赤い提灯、そして上品な木彫りの装飾が、まるで長い時を経た老舗の面影を醸し出している。
しかし、BGMに流れるのはマイケル・ジャクソンの名曲だ。懐かしさと新鮮さが交錯し、不思議な時空の歪みを感じさせる。
注文を済ますと、まずはふっくらとした小籠包が運ばれてくる。口に含むとほんのり甘い肉汁があふれ出し、心地よい温かみが口内に広がる。
そしてついに本命の四川麻婆とザンギの到着である。思わず目を見張る土鍋の中で、麻婆豆腐は紅に燃えるような色合いを湛えている。
一口うつ度に、痺れるような辛さが口中に広がり、舌がしびれるようだ。しかしそのスパイシーな刺激は、布袋伝統の饗の味わいをより一層際立たせる。
他方でザンギは、サクサクの皮の中にとろける旨味が詰まっている。しっとりとした肉汁がごはんにしみわたり、食欲を更に掻き立てずにはおかない。
食し終えた頃には、お腹も心も満たされたであろう。スタッフの丁寧な応対に心地良さを覚え、帰り際には芳ばしい余韻が残る。
布袋点心舗 弁財天で過ごす、そんな時間は、まさに"寛ぐ"の二文字に尽きるだろう。旅の思い出に、この至福の味わいを留めたくなるはずだ。