新居浜市の交通広場に佇む、モニュメント「あかがねの恵み~出会い~」。その巨大な鉄の造形は、まさに地元の製鉄業を体現したかのようです。しかし、よくよく見ると、男女の抱擁を思わせる愛らしい形となっています。工業都市の力強さと、人々の優しい出会いが調和する、語り継がれるべき芸術作品です。
黒々と輝く鉄の立体は、ただ物々しいだけではありません。造形家の手によって、男女が抱き合うようなやわらかなラインが生み出されています。頑強な鉄にも、愛の形があるのです。この対照的な調和が、見る人の心を打つのでしょう。
モニュメントは2018年に設置されました。しかし、素材の鉄はもともと1960年代に新居浜の製鉄所で精錬されたものだそうです。つまり、この作品には町の歴史が刻み込まれているのです。産業発展の力と、人々の絆が見事に表現されています。
ここに人々が集い、思い出が生まれることでしょう。すでに結婚式のロケ地にもなっているそうです。今後は商店街への人の流れを生み出し、まちの活気を呼び戻す新たな拠点となるかもしれません。
あかがねの恵みは、ただの鉄の塊ではありません。新居浜の人々の心の拠り所なのです。町の懐かしさと輝かしい未来を、私たちに想起させてくれる存在といえるでしょう。