波々伯部神社の参道に立つと、まず目に飛び込んでくるのが国内最古の青銅製鳥居です。1490年に建立されたこの鳥居は、その歴史的価値から国の重要美術品に指定されています。明智光秀の丹波攻めの際も、その素材ゆえに焼失を免れたという逸話が、この神社の歴史の深さを物語っています。
鳥居をくぐると、杉と楠に囲まれた長い参道が続きます。静寂に包まれたこの道を歩けば、心地よい風に吹かれながら、まるで時が止まったかのような穏やかな気分に浸ることができます。ただし、生活道路を兼ねているため、時折通る車には注意が必要です。
境内に足を踏み入れると、そこには参道をも上回る巨木たちが立ち並び、訪れる人々を圧倒します。特に注目すべきは「波々伯部神社のスギ」です。樹高45m、幹周6.7mという巨大な杉は、根元の大きな瘤が特徴的で、見る者に畏敬の念を抱かせます。
波々伯部神社は「丹波の祇園さん」として親しまれています。もとは蔓楽寺という寺院だったという歴史があり、現在は祇園三神を祀っています。本殿は豪華な造りで、緻密な木彫りの装飾が目を引きます。
鳥居の側に立つケヤキの木は、毎年夏前になるとアオバズクが営巣に訪れる場所として知られています。自然と歴史が共存するこの神社では、季節ごとの表情を楽しむこともできます。
波々伯部神社は、その長い歴史と豊かな自然、そして静謐な雰囲気によって、訪れる人々の心を清めてくれる特別な場所です。丹波篠山を訪れた際には、ぜひこの神聖な空間で、心静かに祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。