開店前の静かな路地に佇む、この古風な佇まいの和食店。入り口に目をやると、なんと4,5匹の猫が寝そべっている。人なつっこい様子はないが、ほぼ確実にこの子らと出会えるそうだ。猫好きにはたまらない光景だろう。
店内に足を踏み入れると、気品ある空間が広がる。カウンター席もあり、一人でも気兼ねなく入れそうだ。そして、料理が運ばれてくる。旬の素材を生かした逸品ばかり。品数は多くないが、一品一品が芸術的で、心にじっくりと染み渡っていく。大将独りの手作りだけに、提供に時間がかかることもあるが、それがかえって味わい深い。
料理には京都らしい繊細な味わいも垣間見える。例えば、甘鯛を「ぐじ」と呼ぶなど、ほんの少し挑発的なところもあり、面白い。そんな遊び心もまた、この店の魅力の一つなのかもしれない。大人のくつろぎ空間で、心行くまで味わってほしい。