愛媛県八幡浜市の内之浦地区に佇む内之浦公会堂は、1937年に建設された国登録有形文化財です。この木造2階建ての建物は、西洋建築の影響を受けた"擬洋館"スタイルで造られており、外観からは当時の時代性が伺えます。
セメントモルタル洗い出し仕上げの外壁、洋風の玄関ポーチ、小さなバルコニーなど、細部にまでデザインの拘りが垣間見られます。同時に基礎や台座に使われた花崗岩は、この地域ならではの素材を取り入れた粋な計らいでもあります。
内部に残る銃撃の跡は、この建物が太平洋戦争を生き抜いた証しです。2階の舞台と広い畳敷きの空間は、かつて地域の人々が集う公会堂として活躍した面影を物語っています。
戦火を くぐり抜けながらも、内之浦公会堂は大切に保たれ、平成に入り国の登録有形文化財にも認定されました。今なお公民館として地域に根付き、住民に親しまれる存在です。
内之浦公会堂は、洋風建築の特徴と地域の伝統が見事に融合した希有な建造物です。時代を超えて守り継がれてきた、この地に息づく文化的価値は計り知れません。
歴史を感じさせる佇まいと、控えめながらも上品なデザインセンスの調和が、訪れる人々を魅了するのではないでしょうか。ひと足を踏み入れれば、昔と今が行き交う独創的な世界に浸ることができるに違いありません。
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