東京・虎ノ門の喧騒を抜け、閑静な高台に足を踏み入れると、そこには都会とは思えない静寂な空間が広がります。瓦屋根の塀に囲まれた日本建築と、隣接する登録有形文化財の西洋館。この異色の組み合わせが、菊池寛実記念 智美術館の第一印象です。
2003年に開館したこの美術館は、現代陶芸のコレクターであった菊池智氏のコレクションを基に設立されました。その名は、智氏の父である実業家・菊池寛実氏にちなんでいます。
美術館に一歩足を踏み入れると、まず目を奪われるのが美しい螺旋階段です。ガラスの手すりと日本画による壁画が織りなす空間は、まさに唯一無二。ここから始まる芸術体験は、日常から離れた特別なものになることを予感させます。
智美術館の展示は、従来の陶芸のイメージを大きく覆します。食器のような実用的なものから、大型のオブジェまで、その多様性は驚くばけです。特に注目すべきは、美しさだけでなく、「これは何だ?」と想像力をかき立てるような前衛的な作品の数々。
展示方法も工夫されており、多くの作品をガラス越しではなく、直接間近で360度観察することができます。これにより、作品の細部まで堪能することが可能です。
美術鑑賞の後は、併設のカフェ「茶楓」がおすすめです。日本庭園を眺めながら、先ほどまで目にしていた芸術作品の余韻に浸ることができます。ここでのひと時は、都会の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。
現代陶芸の新たな魅力を発見したい方、都会の喧騒を離れて芸術に浸りたい方にとって、菊池寛実記念 智美術館は格好の訪問先となるでしょう。高層ビル群の中に佇むこの美術館で、非日常の芸術体験をお楽しみください。