三途の川と呼ばれる小川に架かる太鼓橋を渡ると、まるで地獄の入り口のような光景が広がります。むき出しの岩場には無数の風車が設置され、カラカラと不気味な音を立てています。それでいて、硫黄の匂いが漂う中に佇む多くの仏像には、不思議と静けさと畏敬の念を催します。
境内に足を踏み入れると、まず目に入るのが硫黄泉の温泉です。入場料に含まれているこの温泉は、強い酸性を帯びた特別な湯質です。肌に優しくはありませんが、火山地帯ならではの体験ができます。男女別の露天風呂のほか、混浴の湯舟もあり、タオルを持参すれば楽しめます。
さらに奥へ進むと、まばゆいばかりの美しさを湛えた宇曽利山湖が待っています。硫黄の影響で湖面が黄色く染まることもありますが、晴れた日は岩々が湖面に映え、まるで別世界からの景色のようです。この不思議な景観を前に、あらためて恐山の神秘性に惹かれずにはいられません。
この恐山菩提寺は、仏教の霊場と言うよりは、自然が生み出した奇岩怪石の景勝地といった方が適切でしょう。しかし、そこには人々の信仰心が息づき、死者を弔う風習も残されています。都会の喧騒から離れ、この異界のような場所を訪れれば、きっと新鮮な気持ちになれるはずです。
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