七重浜駅は、北海道北斗市にある道南いさりび鉄道の駅です。戸建ての住宅が並ぶ穏やかな里山の中に佇む、この駅には長い歴史があります。大正時代に国有鉄道の上磯線の駅として誕生した七重浜駅は、その後、江差線に改称されました。2016年に同線が廃止され、現在はJR北海道から分離独立した道南いさりび鉄道に受け継がれています。
駅から海岸線に向かうと、かつて洞爺丸海難事故が起きた現場の慰霊碑があります。この大事故がきっかけとなり、青函トンネルが建設されたのです。七重浜駅は青森と函館を結ぶ津軽海峡フェリー乗り場の最寄りとなっており、朝早くにフェリーから到着した旅行者の姿も見られます。
かつては多くの乗客で賑わっていた面影は残っていませんが、待合室は綺麗に手入れされており、ホームから望む街並みは、まるで魚眼レンズのように円形に広がっています。線路だけが真っ直ぐ伸びていく風景は、北海道ならではの広がりを感じさせてくれます。ほんの少しだけ寂しさも漂いますが、その分田舎の情緒が色濃く残された、心落ち着く駅なのです。