久万高原町の奥深くに佇む「あん」は、かつては地元の人々の憩いの場としてスタートした小さな喫茶店でした。しかし、やがてその手作りの味と温かい雰囲気に魅了された人々が遠方から訪れるようになり、今では山里の秘境にあるカフェとして知られるようになりました。
「あん」のメニューは季節ごとに変わりますが、いずれも地元の食材を生かした家庭的な味付けが特徴です。人気のうどん入りすき焼き定食は、なめらかな出汁とほんのり甘いたれが食欲をそそります。一見地味な料理ですが、丁寧に煮込まれた野菜の甘みと旨味が口の中に広がる喜びは格別です。
店内に足を踏み入れると、太い梁と土壁が作り出す温かみのある空間に包まれます。大きな窓からは山々の緑が目に飛び込んでくるため、まるで森の中にいるような気分になれます。落ち着いた雰囲気の中でゆったりとした時間が過ごせそうです。
「あん」を訪れると、どこか懐かしさを感じさせてくれる店主夫婦の人柄にも触れられるでしょう。辺境の地にありながらも、地元の人々に愛されて長年営業を続けているのには、そうした人情味あふれる温かな接客があってこそなのかもしれません。都会の喧騒を離れ、ほっとひと息つきたい方におすすめの隠れ家的存在です。